なんとなくな感覚的ゲーム制作手順〜ゆた風〜


     

なんとなくな感覚的ゲーム制作手順〜ゆた風〜



最近よく「どういう風にゲーム制作しているのですか」と聞かれるのですが
毎回ぐあーっとプロット作ってガってシナリオ的な言い方をするのもどうかと思ってきました。
なので簡潔な上になんとなくですが、私がどうやってゲームを作ってるか手順を書いていこうと思います。
ちなみに今回は「奥様は惨殺少女」の簡易制作過程で行こうと思います。
私はシナリオから作る方が多いので、「包丁さんのうわさ」ではいつもと違う作り方になってしまうんです。
もちろん「包丁さんのうわさ」のようにキャラから作るやり方のゲームもあるんですが・・・。
とりあえず「奥様は惨殺少女」でやってみたいと思います。
あ、それで注意。
ゲーム制作手順を書いているので当然「奥様は惨殺少女」のハッピー&ワーストまでの全てのネタバレが含まれますので
未プレイの方はご注意ください。
あ、あと設定とか伏線の張り方が結構無茶苦茶なので、「感動返せ」とかなる可能性があります、ご注意。
(重要な設定が設定上は欠かせない要因だったとしても切欠は「私の趣味」とかがあります)



1・ゲームを作る切欠のワンシーンを考える。

ゲームを作る切欠、それは大事です。
それがないと結構グダグダしやすいです。
別に凄いものを考えれとは言いません、ただこの設定は面白いとかこのシーンは泣ける的なものを考えろということです。
そしてゲームを作りたいからではなく、日常生活でふと浮かんだものとかオススメです。
立体的なものを作るのにまず頭に浮かんだ「こんな恰好可愛い」とかがいいみたいな感じです。
「奥様は惨殺少女」の制作の切欠は

私(いちゃいちゃ夫婦っていいなー)
私(定番の「ご飯にする?お風呂にする?それともア・タ・シ?」とかやるんだよね)
(この辺で私のお笑い魂が疼く)
私(ん?それを「料理」のあの夫妻にさせたらどうなるんだ?)
私(さゆりは「私?」とか聞かないで「みゆき?」とか聞いちゃうかもしれない)
私(そしたら空気読まないで夫は「もちろんみゆきだよ」とか答えちゃうんだな)
私(これは刺されるww夫刺されるw抜群に刺されるww)
私(まさに空気読まないww常に笑顔で浮気相手指定www)
私(むしろ何か聞かれる度に「みゆき」とか答えちゃう夫とか嫌だwww)
私(そしてその度に刺されるwwこれは面白いww笑えるw)
私(いっそラブラブ新婚ADVにして選択肢に毎回「みゆき」追加w)
私(そして刺されるwwBAD確定ww即死www)
私(いいなぁwそんなゲーム作りてぇwww)

と、まぁこんな感じで最初は「定番のセリフのラストをあえてかえてみたら面白い、そのシーンを作りたい」ということで「奥様は惨殺少女」制作開始となったわけです。
案外切欠というのは些細なことです。
ちなみに上のセリフでは実際は姉にたまに何か言いながら考えてますが
何分数年前の事なので姉のセリフ覚えてないので姉のセリフ全面カットです。
まぁ「それは面白い」とか「いける!」ぐらいしか言ってないので大丈夫だと思います。


2・プロットを考える。

作りたいシーンが出来たらプロットを考えます。
作りたい部分が設定とかエンド部分とかによっても組み立て方は結構ありますが、とりあえず大体の流れでいいから考えます。
立体で言えばデッサンとってる段階ですね、頭の中のものを「こんな風にしたいんだー」と形にしていきます。
この辺は結構楽しいですね、設定とかガンガン追加していけますし。
「奥様は惨殺少女」では掲げた「やりたい事」が「結婚生活一週間を生き抜く」みたいなものだったので、とりあえず結婚生活をおくる二人の話にしなければならないわけです。
そしてここで大体必要になるのが「切欠」です。
今回の場合は「切欠を矛盾なく扱う方法」が大事です。
選択肢の度に夫がぶしゃーと殺されるわけですから。
不思議世界にしてしまうのもいいんですが、一応「料理」と同じキャラを使うわけですからその辺色々な面をクリアしていかなければならないわけです。
というわけで「切欠と大体の世界観を守るための矛盾潰し」をしながら考えていくと大体方向性が決まっていきます。
「奥様は惨殺少女」の場合の「矛盾点潰し」は

・ダークギャグじゃないんし、笑いながら殺すとか無理だから夫あっさり殺したら厳しいよ→なら何らかの原因で生き返ればよくね?
・そんな簡単に生き返ったら苦労しないよ→ループとかいいよね
・生まれ変わりとか無理あるわぁ→なら夢落ちとか・・・
・夢落ちとかギャグだろw→夢を繰り返してるとかよくね?
・誰がやってるの?→そりゃさゆりに決まっていますなぁ
・さゆり一般人・・・→夢の中だもの!夢の中だもの!リンク夢だもの!
<ここで夢ループものとなる>
・セーラー服ロリいいよね→待て、さゆりは大人だ
・夢の中だからいいじゃない・・・→理由は必要だろ
・昔の姿で通る理由・・・→「料理」のさゆりボロボロじゃないか、昔は良かったとなる人も多いしここは「中学生時代に戻りたい」というさゆりの心の表れでおk
・つまりあれは→昔のさゆりと言うわけです。
・夫おかしいと思うよ!→合法ロリなら問題な・・・さゆりが造ってる夢なんだから疑問に思うことを消せばいいんじゃね?
・昔が良かったって、てことは既にその時夫いた?→いたんだろうねぇ、その時から付き合ったと考えるのがいいかも
<ここで登場するさゆりが中学生姿になる>
・ループってことは終わりがあるよね!→やっぱり覚めるのが終わりだろ
・んじゃ始まりは?→・・・やっぱり「料理」から?何回か気絶してるし
・覚める方法は?→一番いいのはそりゃ「夫がみゆきを好きと言わずにさゆりを愛すること」でしょ
<ここでエンド方法がいくつか浮かぶ>
・つか「料理」と性格違うよ、夫→何かされたんじゃね?みゆきに
・性格かわる程の「何か」?→性格かわる程の何かっていくつかしか知りませんなぁ
・みゆきがそこまでする理由は?→さゆりに固執してるんじゃね?
・さゆりに固執?→好き、というわけじゃなく、何かしらの「迫害してもよい」的な条件・・・。
<ここで夫の名前「大志」と浮気の原因、元々の性格、三人の過去等が決まる>

な、感じで潰していったわけです。
要は「矛盾点発見→解決方法である設定」を作っていく感じです。
こんな風にやっていくとほぼ設定とプロットは決定したも同然です。
もちろんこの時点でENDも考えるんですが、ハッピーエンドも「最良のエンドになるには?」を考えた結果です。
なのでハッピーエンドだけは「料理」を通過していない、ということになったわけです。
矛盾潰しが楽です。
ちなみにこの手順以降、ほとんどをノートに書いていくことになります。
初期の設定はこんな感じ

こっから手を加えていくわけですね。


3・エンド条件を考える

考えたエンドのための条件を考えることは大事です。
要は「あることをしていないとここにはいけない」というのを考えないと「何でこれでこのエンド?」になりますので。
「奥様は惨殺少女」で酷い選択肢を選んでるのにハッピーエンドにいけたら「おいおい」になりますし
逆に良いだろう選択肢を選んでるのにワーストエンドなんていったら私が嫌です。
今回はギャルゲー風味ということで簡単に「好感度」と「見たエンド数」によってかえることになりました。
何故ハッピーとワースト以外の全てのエンドを見ないとハッピーにいけないかというと、上に書いたことが重要になってくるんですよね。

理由1・初見からハッピーにいった場合あとは落ちるだけの上意味がよくわからない
さゆりの過去もどうしてそうなったのかも不明なまま突入されると説明不足です。
かといってハッピーだけやたら説明しても長い。
なので各々のエンドでちょっとずつ説明して全てを合わせてハッピーを見ればわかる、という感じにしたかったんです。
あと一番いいエンド見たあとノーマルエンド見ても何も思えませんし・・・。
なのでノーマルを見て「普通」という感想を、トゥルーで「真実」を、バッドで「裏の事実」を得てからのが良かったわけです。

理由2・設定上「何回も繰り返している」から
何回も繰り返してようやく真実に辿りついて決断した、というのが肝なのに初っ端からそのエンドいったら設定も何もないです。
二人が「繰り返している」ことを最低3度は繰り返してもらわなければならなかったわけです。

そんなわけで条件を設定しました。
ワーストの条件を設定しなかったのは「それ一つでどん底が理解できるから」です。
ついでに設定上一発アウトくらうことも有り得るからです。


4・シナリオを書く
プロットが完成したらあとはシナリオを書いていきます。
私の場合全部書き終わってから必要CGとか決めているのでこのときは必要CGは全然作っていません。
下書き程度なら描いていることもありますが・・・。
シナリオに関しては私の場合、プロット見て大体の流れみたら適当に頭に浮かんだ文字を打ち込んでいきます。
なので基本行き当たりばったりです。
オムピーマンとかノリ過ぎた結果ですね。
プロット上では「海か遊園地かみゆきの家に行く」的なことぐらいしか書いていません。
内容はシナリオを書くときに思いついて入れていってるわけです。
そして選択肢は「ここで入れたいなー」と思ったときに入れます。
デートイベントでは海と遊園地の選択肢を一緒ぐらいにしないといけないので、それは合わせますが、あとは大体です。
そうやって大体1日区切りで書いていきます。
区切りを入れることで作業能率がちょっとアップしたりするので。
この辺ちょっとダレたりするので・・・。
選択肢の結果や好感度に関してはノートに書き込んで計算することになります。
こんな感じ

なんの選択肢があるかは残しておかないとむしろ混乱してしまいます。
特に自分の場合これがどっか行くと攻略すら忘れるので大変です。
大体の方面は覚えているんですが、どの選択肢を〜ってのはこれを見ないと厳しいです。


5・CGを作る
私はほとんどの制作を一人でやっているのでCGも当然自分です。
CGの指定は、あらかじめテキストにべた打ちしたシナリオに「;浜辺で遊ぶさゆりのCG」とか入れたり
ノートに必要なCGを描いていきます。
自分で必要だなぁと思ったところに入れるので結構量多いですが、自分で描くので特に問題はないです。
あとはそれにそって下書き→ペン入れ→スキャン→彩色→そのまま突っ込めるCGの状態にまでしてしまいます。


6・背景・効果音・音楽を探す
ここまで出来たらあとはもうひと踏ん張りです。
まずは必要になる背景を片っ端から借りていきます。
シナリオを自分でした場合「この背景が必要だ」というのは大体わかっているので借りていきます。
音楽も片っ端から聞いていって「これが合っている」と場面ごとの音楽を探していきます。
あらかじめ大体の場面分けしてると楽です(日常・悲しい時・ホラーな時・感動的等)
借りるときはもちろん規約を確認してからです。
中には聞くだけ、というところもあるのでもちろんそういうところを使うことはしません。
効果音に関しては「絶対いる!」というのをある程度はDLしておきますが、スクリプト組んでいるときに探すので今はそんなに探しません。
簡単に書いていますが、こういう探す作業は案外大変です。
何せ合っているか、が大事なので片っ端から聞くことになります。
しかも中には「これは素晴らしい、これは別の作品に使わせてもらいたい」とかいうのもあるので困ります。
下手すると1日かかっても探しきれないこともあったり・・・。
私的には大体「そのゲームに合う曲」は1曲見つかれば結構そのサイト様から何曲か見つかります。
雰囲気が似ているということですから。


7・スクリプトを組む。
私が使わせていただいているのは「NScripter」というツールなのですが、
このツールはまず「改行」等を指定していきます。
簡単な方法もありますが、私では出来ないので一々手打ちです。
要は「とりあえずエンドまで読めるようにする」わけです。
次は「分岐条件の設定」をします。
ベタ打ちのシナリオに選択肢を追加したり、その選択肢で好感度がいくつあがったとか書いていくわけです。
好感度などはわかりやすく言うと「数字が書かれた箱」に数字を入れることで管理しているので
「同じ数字」が書かれた箱は使えません。
なので使っていく数字はノートに逐一書き込んでいきます。
特に条件分岐に使う箱が重複すると条件を満たしていないのに分岐してしまうので慎重です。
その後は背景とCGを放り込んでいきます。
これは基本的にシナリオを読みながら入れていきます。
足りない背景は借りにいくことになります。
全ての背景・CGを入れた後は音楽と効果音です。
これもシナリオを見ながらですが、効果音はこの時逐一借りにいくことが多いです。
全て入れたあとはおまけページなどの作成に入ります。
スタートボタンとかの作成もこの時にしてしまいます。
何回か微調整をしてバグがでないかどうかを見ます。
それが終わったら完成です。


8・デバッグをする。
バグが起こらないか確認します。
私のゲームは誤字脱字が多いのですが、アレでもだいぶ直しているんですよね・・・orz
まず私が誤字脱字がないかどうか、また設定したルート通りに動くかを確認します。
それを何回か繰り返した後は姉にゲームを渡します。
これは自分だけが読むと人間の補完能力が働いてしまって誤字脱字が上手く見つけられないからです。
自分では何回も見たり考えたシナリオなので「そう書いてあるはず」と思い込んで見落とすんですよ。
そんなわけで姉に攻略ルート教えてデバッグをしてもらいます。
姉からバグ報告があれば逐一直してそのデータを送り、何回か繰り返してようやく完成です。


9・必要情報を作る。
全部完成したら漸く配布データを作ります。
具体的には皆さんがDLして解凍したらなる状態を作るんですね。
リードミーを作ったりアイコンを作ったりして配布データを作ったら後はデータ自体はDLサイトに申請してしまいます。
その後はDL開始までに紹介サイトを作るわけです。
その前に作ってしまうこともありますが・・・。


という感じで全ての過程が終了するわけです。
私の制作方法なので宛にはなりませんが、大体こんな感じで作ってるんだなーと思ってもらったら幸いです。







2011/09/18