71万HIT記念イラスト
 

カシャン、という味気ないデジタルな音がして扉が開く。
その先は、まるで地獄のようだった。
「な……な、なん、で…………」
血、血、血、血、血。
見渡す限り、血の色で染まっている。
長い廊下の見える部分は全て赤色だった。
何も聞こえない。何があったのかもわからない。
ただわかることは、ここで何かが致死量の血を流して死んだということだけ。
何事かと一歩進むも、ぴちゃりと血だまりを踏んで思わず後ろに下がる。
「く、くくくくく」
唐突に声が聞こえた。
この静寂な死の中で、たった一つの。
慌てて伏せていた顔をあげ、声の主を探す。
声の主は赤に埋もれた中で唯一の白い……生き物だった。
血の赤と暗闇の黒で構成されたこの世界で、唯一の白い生き物。
自分を見て笑っている生き物。
楽しそうに笑うそれは、狂っているようで狂っていない……ルニカのものだった。
「ルニカ、さん」
声をかけると、楽しそうに笑っていた声を止めて、ルニカがにやりと笑いながらマレを見る。
そもそも自分はルニカを探しにここまでやってきたのだ、探していた人物が見つかって嬉しいのだがそれでも。
「マレちゃん、反応が可愛いねぇ」
マレは、ルニカに恐怖を抱いていた―――。
「どうしたんですか……この血、どこか……お怪我でも……」
自分でも白々しいことはわかっている。こんな血を流したらどんな人間もとっくに死んでいるだろう。
それでも笑っていられるのだとすればこの血は……赤の他人のものだということだ。
だが念のためマレは声をかけた。ルニカは未だによくわからない性格だ、万が一血が大量に出て瀕死の状態でも笑っているのだとしたら死んでしまう。
「心配は念のため。でも念のためでも聞くことは大事。良い子だねぇ、マレちゃん」
そんなマレの考えすらもルニカは簡単に見抜いたとでも言うように笑う。
ルニカはマレがここにきてから笑ってばかりだ。
「大丈夫、この血は侵入者のものだから俺は傷ついてないよぉ?」
ルニカが優しげにマレに声をかける。心底優しそうなその声は、それと同時に何故か底知れぬ闇を感じさせる。
「じゃあ……どうして」
こんなところにいるのか。そうマレは言いたかったが声がでなかった。
聞きたくない。そう思っていたからだった。
こんな、探しにこられるまで一人で血だまりで何をしていたというのだろうか。
ルニカのことだから色んなチェック等は済ませているのだろう、だからこそ怖かった。理由を聞くのが。
「ここにいるのかって?簡単なことだよ、簡単な」
マレが止めた言葉をルニカが繋いでしまう。マレは思わず耳を塞ぎたくなってしまったが、そんなことは出来るはずがなかった。
「俺はねぇ、定期的に血液の中に沈まないと体が溶けてしまうんだよぉ?」
意外な言葉に目を開く。てっきり、そうてっきり。
「遊んでいるかと思った?」
そうとしか思えなかった。全ての用事を済ませてもなおここに留まる理由なんて、ルニカには遊ぶぐらいの理由しかない。
「ごめん……なさい…………」
不埒な考えだった、とマレが頭を下げる。それを見てルニカはさらに口を吊り上げて笑った。
「俺は後処理をしてから行くとコロワちゃんに伝えておいて?ね?」
元よりコロワはルニカが何をしているかは知っているだろう。
コロワには研究所内の全ての監視カメラを見ることができるのだから。
マレを寄越したのは単純にルニカを急かすためだ。
……コロワもまさか少し目を離している隙にここまでのことをルニカがしているとは思っていなかっただろうが。
「はい……わかり……ました」
マレが頷いて元来た扉を開けて向こうへと戻る。
そして扉がまたいつものようにカシャンと音を立てて閉じる瞬間。
「嘘だよ。……ほんとかもしれないけどねぇ?」
そう、聞こえた。

扉が閉じた後は静寂そのものだ。
聞こえなかったフリをして、マレはそのままコロワの元へと向かった。

end











71万HITありがとうございます!
71万お礼絵はルニカです!
69万HITは初めて最初から最後までデジタルだったのですが、
今回は初めてデジタル厚塗りに挑戦してみました!
結構難しいですね・・・。
厚塗りだと結構zigorekishiのねっとり感が出ると思います。
ルニカはこういう変なことばっかりするのでよくコロワに怒られています。
今回の主な理由は「片づけ」と「マレへの教育に悪い」です。
ルニカ自体の戦闘能力は戦闘用のコロワやアプリケットに比べると劣るのですが、
それを補って余りある知能と能力とであっさり敵を片づけることができる
ある意味一番厄介な敵。

画像よく見えないぜって人はこちらより小さい(すぎる)絵が見れます。
縮小すると綺麗に見えるよね・・・。

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2014/02/27