74万HIT記念イラスト
「おや?マレじゃない、こんなところにきて珍しいね」
「あ……ごめん、なさい……」
適当に探索をしていたところ、コロワのいる管理室に来てしまった。
マレはコロワの姿を見ると慌てて頭を下げた。
「……?何で謝るんだい?何か悪いコトでもした?」
そんなマレの様子を見て、コロワがつい、と首を傾げる。
「え……あの、その……勝手に入ってきて…………」
探索は誰かに命じられたものではない。マレが勝手にやっていることだった。
だからうっかり人の部屋に入ってしまったことをマレは謝っているのだった。
「うーん、この部屋は誰かの部屋ってわけでもないし、頻繁に入られても困るけど、別に入ったぐらいで怒るような場所ではないよ?」
アプリケットやエギスもたまに入り込んでるし、とコロワが付け足す。
そんなコロワの様子を見て、マレはほっとした。
コロワは怒ると怖いから。
良かったと思ってコロワの方を見ていると、マレはコロワは何をしているんだろうと思った。
「……?なんだい?」
「あの、コロワ……さんは、何をして…………らっしゃるのでしょうか?」
「報告書を読んでいるんだよ。もちろん昔のね。こういうの読んでるとたまに施設に関することが出てくるから、読んでおいて損はない」
ちら、と持っている青い本をマレの前で振る。そんな分厚くはないが、中身は難しそうだった。
何故そんなものを、とマレは聞こうと思ったがやめた。どうせ「副リーダーだから」としか返ってこないだろうからだ。
そこまで考えて、マレはもう一つの疑問を頭に浮かべる。
「あの……コロワさん。何故、コロワさんは……副リーダーなんですか……?」
思った疑問を率直にぶつけると、コロワはほんの少しだけ顔をしかめた。
「……僕が副リーダーじゃ、不満かい?」
「え!?いえ!ちが……います。えっと、その……何で、コロワさんは……リーダーにならないのかと。せめて……ルニカさんが、いない……間だけでも」
慌ててマレが訂正すると、コロワは少し驚いたような顔をして、そしてくすりと笑った。
「それ、ルニカに言っちゃだめだよ?」
「……?怒られる、からですか……?」
「違う違う、そんなこと言ったら、またルニカが面白がって色んな話してくるから頭がこんがらがるよって話」
マレの言葉に、コロワが苦笑いしながら左手で違う違うと手を振る。
どうやら、忠告のようなものをしてくれただけらしい。おもちゃにされるぞと。
「それで、リーダーにならないのかって話だったね。確かマレには前にそんな話をしたような気がするけどなぁ」
「その、副リーダーのままでいる…………理由が……」
「ああ、なるほどね。そうだねぇ、マレ。リーダーになるためには、ある一つのものが必要なんだ。それこそそれ以外がなくてもかまわないぐらいに。……何だかわかる?」
「……わかりません」
マレが首を振ると、コロワは満足そうに頷いた。
「カリスマ性。これはね、本人の資質だからどうあがいても後天的に得られる可能性は少ないんだ」
「リーダーになるには能力も必要だと思うだろう?違うんだ、カリスマ性さえあればリーダーは務まるんだ」
「逆に、だ。どんなに能力が高くてもカリスマ性がなければリーダーになれないんだ」
どうして、と首を傾げるマレに、コロワは優しく言葉を続ける。
「よく言うだろう?〇〇が言うならって言葉。カリスマ性のある人間は、いるだけで人を惹きつける」
「対してカリスマ性のない人間は別に人を惹きつけない。この違いは大きい」
「同じ言葉を言っているのに、カリスマ性がある人間の言葉は何故か人に聞いてもらえる」
「でもカリスマ性がない人間の言葉は、その人間の能力がどんなに高くても聞いてもらえない場合がある」
「全くの能無しでも、カリスマ性さえあれば、無能なリーダーでも誰かが代わりにする」
「たとえお飾りのリーダーでも、そこにいることがはっきりわかる、旗となるリーダーならそれでいいんだ」
「有能でもいるかいないのかよくわからない、そこに立って演説をしても人を惹きつけられないのでは組織の旗には、シンボルにはなれないんだ」
「こう考えてみるとわかるかもしれないね。極少人数のリーダーならカリスマ性がなくてもシンボルにならなくてもかまわないからいい」
「でも大きな組織のリーダーなら……シンボルになれないような人間は、いらないだろう?」
ここまで一気に語ったあと、コロワは「僕はシンボルにはなれないんだよ」と何故か誇らしげに言った。
何故【ないこと】に誇らしげなのか、マレにはわからなかった。
「不思議そうな顔をしているね。でもおかしくはないよ。近くに強烈なシンボルたる人間がいるのならば、なれなくてもかまわないんだよ。だって」
「その人の傍で役に立てることて十分誇らしい気分になれるからね」
それこそ、自分がリーダーになって得られるモノよりも素晴らしい。
にこりとコロワが笑う。
マレにはよくわからなかったが、きっとコロワはこの場所の【副リーダー】でいることが誇らしいのだと思った。
「じゃあ僕はこれ読んでるから、あまりこの辺の物に触れないでくれたらいいよ」
そう言ったあと、コロワは持っていた報告書に目を落とした。
そのまま静寂が広がる部屋。
特にこの部屋に用事はない、とマレはそのまま部屋を立ち去った。
end
74万HITありがとうございます!
74万お礼絵コロワです!
zigorekishi組厚塗りシリーズです。
コロワの目が意外に怖い・・・あと小物難しい・・・。
顔バランス上手くとれなかったせいでコロワは「誰だこれ」状態に・・・orz
コロワは自分で好んで副リーダーにいます。
面倒見が良いタイプの中でも皆をまとめたりする方に面倒見が良いタイプ。
え?じゃあ誰が何する?って時にテキパキとまとめるタイプ。
自由時間というか、特に何もしなくてもいいときにもこうやって昔の書類とか読んでたりするが、本人は楽しい。
ルニカのことはある意味羨ましいと思ってます。そのカリスマ性が。
戦闘用改造なので敵が来たときは対処するのですが、ルニカがいるからいっかーとばかりに特攻してしまいがちなところがたまに傷。
アプリケットやクブツで何とかなる場合はいきませんが。
ルニカはコロワのそういうところは嫌らしい。
変えられない能力がある人間が上位互換があるから別になくてもかまわないわけじゃないと言いたいらしい。
アプリケットもコロワのそういうところを知っているので、なるべく自分のところで止めようと無理しちゃったりもする。
画像よく見えないぜって人はこちらより小さい(すぎる)絵が見れます。
縮小するとやっぱり綺麗に見えるよね・・・。
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2014/07/05