最近葵が稲さんのことを稲ねぇと呼ぶときがありますが、何かきっかけがあるのでしょうか？

以前は稲さん呼び一本だったはずだし…

稲：次は私か、よろしくお願いするよ

ョル：よろしくお願いしまス。では早速質問の件ですガ……

稲：ああ、これはねぇ……うーん、複雑な問題があってだねぇ……

ョル：葵サンが懐いたからとかそういうレベルの問題ではないんですカ？

稲：うーん……そういう問題だったら良かったんだけどねぇ……

ョル：ほうほウ。では一体どうして呼び方がころころかわるんでしょウ

稲：……まぁ公にしても問題はないだろう、所詮ここは挟んだ世界だし

稲：単純な話、葵はずっと迷ってる。それだけだよ

ョル：迷ってる、とハ？

稲：葵は遠慮がちな子でね、色々考えてしまうきらいがあるんだ。

稲：葵にとっての「姉」は椿だ、それは絶対かわらないしこれからもかわることはないだろうね。

稲：でも私や鋳太にも姉や兄を感じていてくれたんだろうね、きっと……。だからねぇやにぃやと呼びたいって気持ちがあるんだろう

ョル：なら何故そう呼んでいるときとそう呼んでいないときがあるのでしょウ？

稲：きっと……何事もなく人生が終わっていたらあの子はずっと稲ねぇと呼んでくれたんだろうなって思うよ。

稲：でもそうはならなかった。私はあの子のせいだなんて思ってはいないけど、あの子は今でも自分のせいでこの惨劇が起こったと思ってるんだよ

稲：自分が、椿に助けを求めなければ、ってね

ョル：包丁さんが産まれることもなかっタ……そう葵サンは考えてらっしゃるみたいですネ

稲：そう。だから葵は私のことをどう呼んでいいのかわからないんだと思う。

稲：私のことをねぇやと呼ぶ資格なんてない、そう思ってる感じはあるね

ョル：椿サンの方は割り切って呼んでらっしゃいますのにネ

稲：いやー……あれも椿が衝撃で寝込んだから今でも椿ねぇ呼びしてる感じはあるけどね。

稲：椿の場合はずっと呼んでたからねぇ……変更したときの衝撃は凄いけど、私にはちょこちょこ呼び始めてたってときだったからね。止めるのもそれほど違和感はなかったし

ョル：では最近また呼ばれはじめてるのは何故でしょウ？

稲：少しずつ心の迷いがとれてきたんじゃないかって思ってるよ、少なくとも私は。

ョル：そうですカ……。いつかずっと稲ねぇと呼ばれる日がくるかもしれませんネ

稲：そうなる日が来るのを願うよ